うるわしのアンブリッジローズ
親しみやすい美人なバラ
前回ブログ更新してから何日が…えっもう5月半分???
日々庭で咲き誇るバラに見とれ、水やりだ花殻切りだ葉っぱチェックに虫パトロールだとばたばたしているうちにこんなに日数が経っていましたね。
いや、購入順にブログ記事を書くなら、次は表題のアンブリッジローズで、どうせなら今年の花の写真も載せたいなんて思っているうちに日が過ぎていた訳なんですが。
4枚目の画像は左側に、隣に置いてるステファニーグッテンベルクも混ざってますが。ステファニーは若干樹形がいびつではありますが、この二つの鉢バラは開花時期もぴったりで、とてもよいコラボをしてくれました。
ステファニーがほぼアイボリーホワイトに中心だけほんのり淡いピンク、アンブリッジがアプリコットピンクなので、花瓶に活けた時も相性バッチリ、女性が好みそうな色合いだなあと思います。
アンブリッジのアプリコット色は咲き始めが一番濃く、すぐに退色が始まって咲き終わりにはわずかにピンクの陰を纏わせた白バラになります。
昨年夏はピンク味が殆どなく、花弁も少ない誰あんたという夏花も咲いたりしましたが、秋の終わりまで繰り返し良く咲き、わずかにうどんこの気配を感じただけで黒点病にもハダニにも悩まされなかった、我が家では一番の優等生です。
我が家に来た経緯
このバラを購入したのは2019年3月の終わり。
前月、ピエールとステファニーを購入したばかりではあったものの、バラ育成サイトやら販売サイトのブログやらを巡回して育成の勉強をしているうちに、あれもこれも欲しい(@△@)という状態になっていた私の目に、一つのフレーズが飛び込んできたのでした。
【カタログ落ち】
とあるサイトで、ERウィリアムモーリスが目に留まり、後いくつバラが庭に置けるだろうかと考えつつもその名前で探したところ、販売サイトではどこも売り切れ……。そのうちに検索して出て来たブログの中で「カタログ落ち」という単語を見つけました。メーカー側が生産をやめてしまうという事。パテントの問題で、その後、その品種は入手困難になってしまう……。
その後の行動は早かった。ピエールを購入した某販売サイトでダービーと、同時期にカタログ落ちの情報が出ていたアンブリッジの2種の即納大苗があることを確認した瞬間、ぽちっとしていたのです。
なんというか、我が家に迎えたきっかけが、ダービーのバーターというか……。育てやすくて優秀で可愛いとはあちこちのサイト、ブログで見かけたものの、当初はそこまでこのバラ自体に惚れ込んでのお迎えという訳ではなかったのです。
しかし、このバラの真価は庭に置いてその優しく明るく親しみやすい花色、整ったカップ&ソーサーの花形、繰り返し咲きつつも病気になりにくく丈夫で素直に育ってくれるという点にあるのではないかと思います。
オタクっぽい形容だなーと思いつつ、クラス委員とか図書委員なんかが似合いそうな控えめで優等生な眼鏡っ娘や、お隣の優しい幼馴染のお姉さんぽいバラだなぁとも思っています。
香りはミルラの強香。個人的に、この香りは、【おかあさんの鏡台の引き出しを開けた時のにおい】というイメージなんですが、その香りのイメージがまた上記の女性像形容に一役買っているのかなぁと。
以下は2019年に大苗で来た年のアンブリッジローズ。
適当な剪定でもまとまりよく、今年はさらに大きくなって一杯咲いてくれたなあと実感しています。
今年も大事にお世話をして、来年もその先も健やかに咲いてほしい。
迎えるきっかけは成り行きだったけど、今では大事な我が家の庭の一員です。
あらぶる蕾の季節
一般人は蕾画像を求めてはいない。たぶん。
バラを育てていると、12月末~2月頭のクソ寒い中、冬剪定だの誘引だの寒肥だのと頑張ったあれこれのご褒美となる春の芽吹き、花芽の出現、いよいよお出ましの蕾とテンションがだだ上がることが多々あります。
もちろん、美しく可愛らしく薫り高い花を育て上げるのが何よりもの歓びなんですが、絵として地味である葉っぱもっさもさの株の写真とか、根元のごつごつした部分からチラッとだけ顔をのぞかせたベーサルシュートの赤ちゃんとかの写真はですね、Twitterにどんどこ貼り付けても、普段バラを育ててない人にはピンと来ないだろうなぁとも思いつつも、つい写真を撮ってはSNSに……。
バラブログとか、Twitterとかを見ていて、バラ愛好家さんたちが嬉しそうにベーサルや、つやつや新芽の写真を上げているとこっちも「うんうん嬉しいですよねー!やったね!」とニコニコしてしまいます。
私のTwitterアカウントのフォロワーさんはオンラインゲームのPLが8割以上なんですね。「葉っぱとかクラウン(株元)にぽちっと出た赤い芽のドアップ写真とか、みてもつまらないだろうなぁ……でもね、でも、まだ病気知らずのつやつや新葉とか真っ赤な新芽とかガクが降りてふっくらした蕾がゆるむ様子とか本当に嬉しいんですよ…こんな可愛いものは無い。あっ花はもちろん別格ですが」と思っていたり。
ならばここでは。せっかくのバラブログなので蕾尽くし、蕾祭りを開催したいなー!と思った次第でございます。
春の嵐もたびたび来るけど、負けずにすくすく育っておくれ我が家のバラたち、その蕾たちよ!
今年は、ショップから予約大苗としてやってきた新入りのジュビリー・セレブレーション、ジュード・ジ・オブスキュアの二つがすでに開花していますが、おそらくこの苗二つは温室管理されていたので他の苗より早いんでしょうね。4月12日には下の画像のような感じでした。
雨風にも負けず、健やかに開花してほしいものです。
誕生日のステファニー・グッテンベルク
お祝いのバラ
前回ブログを更新してからもう半月……以上!?
芽吹きと葉の茂りを楽しみに待っていた今年の春は、自分の周辺のみならず、世界的にかつてないような災禍に見舞われていて、色々と気持ちが乱れることも多く、ブログの文章を書こうという気合がいまひとつ湧いてこない日々を送っていました。
それでも日差しが温もり、新芽の先端から小さな蕾を見つける頃になると段々気持ちも上がってきます。
写真の撮り方が下手すぎる…。
ステファニー・グッテンベルクは2011年作出、2015年春に日本発表のドイツ・タンタウ社のバラ。品種名はドイツの慈善事業家の女性に捧げられたものだそうです。
淡いピンクが中央に差した、ソフトなアイボリーの花弁がきれいに重なった美しい花。……だそうですが、写真を見返すとあんまりアイボリーっぽくないように映ってますね……。実物はもっと淡い感じにみえます。
この苗は2019年の2月半ば、私の誕生日のプレゼントとして、家族が購入してくれたものです。
ピエールと前後しますが、「可愛らしいソフトピンク、紫すぎないピンクのバラがほしい!」という私の欲望がさく裂したためにこの花色のバラをお迎えしたという事情があります。
初恋のバラはクイーン・エリザベス、セカンドラブのバラはピエール・ド・ロンサール。……なのに手元にあるバラは艶やかな濃いローズピンクとお元気カラーなオレンジ……。
ピンク!ピンクだ! かわいく上品で派手すぎないピンク!
フーシャピンクでもショッキングピンクでもない、ソフトピンク!(ピエールはソフトピンクではないとは思いますが…)
ピンクのバラ!
家族が資金を出してくれるため、一緒にいくつかホームセンターを回りましたが、至近のホームセンターは2月の9日でもあまり大苗の品ぞろえがよろしくなく、ついている写真ラベルの花姿もいまいちキュンと来るものがありませんでした。
車で少し離れた園芸店、ここは以前購入して庭に植えたものの、あっというまに庭草に紛れて消えてしまったブライダルピンクを購入した店舗です。
さすがに園芸店なのでいくつもメジャー品種に混ざって多様なバラの大苗が置いてありました。そのうちからステファニー・グッテンベルクの名のみ、オレンジ色のタグがついた苗を見つけて、スマホで検索。みつけたブログ記事や、画像検索で、あっこれがいい!となってお迎えと相成ったのでした。
病害虫に強く元気な品種とのことで、育て始めは確かにそうだなと思っていたんですが……バラは花を咲かせると疲れるんですね。フロリバンダかつ四季咲きのこのバラは春先から夏、秋口までがんがん蕾をつけて花を咲かせようとして、なのにケアが行き届かなかったため、どんどんボロボロになって行きました。黒星病、ハダニ、うどんこ病(これは水飴系の無農薬農薬ですぐ改善しましたが)、カイガラムシと病害虫のデパートみたいになってしまったのです。
地植えにしていましたが、少し離れた位置にあったエアコンの室外機が他の庭具に風向きを変えられてちょうどこの苗の位置に吹き付けてくるのも問題だったかもしれません。
ハムスターの額の庭で、すぐそばに物干し台があったために、しゃがみこんでマメに世話をするのにも支障があり、一念発起して、2020年の1月頭に鉢上げをしました。
軒下に鉢を置いて、かなり強めに剪定した枝にそれでもまだ散らばるにっくきカイガラムシを毎日歯ブラシでこすり落とし、肥料は控えめに、活力剤を月に一回……とこまめに世話をしてみたところ、2020年に新たに迎えた大苗を除いて、我が家で一番早く芽吹きを始め、つやつやぴかぴかの葉を茂らせてくれました。
手前の砂利の上に落ちている歯ブラシは見なかったことにしてください(なぜ片づけてから写真を撮らなかったのか…)。
フロリバンダを育てるのは初めての為、斜めに生えてきた極太シュートにばかり勢力が傾き、樹形が著しく崩れていますが、来年はもう少し整えた形にしてあげたい。
去年の秋のボロボロ姿が嘘のように、やる気に満ち溢れた蕾の数と輝くような葉を山盛りつけてくれたこのバラの、今年の美しい開花を心待ちにしています。
憧れのピエール・ド・ロンサール
乙女ピンクのバラ
ロイヤルサンセットを迎えて2018年の終わりまでは、我が家のバラは2本だけでした。(名称不明白バラは多分ですがテッポウムシにやられてイブを迎えた数年後に枯れてしまっています)
そこでふと気づいたのは、手元にある濃いローズピンクと渋みオレンジのバラ……あれ? 私一番好きな色のバラ持ってなくね?
しかし、まだこの頃にバラを増やすのは難しく(祖母が植えたタチアオイなどがハムスターの額の庭を占領していたため)、2019年の年明けになってようやく、いまの花壇の位置にバラを好きに植えて良いという家族の許可を得られました。
さて、あちこちのホムセンなどをそぞろ歩くものの、これと思う品種は見つからず、その当時はまだネット通販など考えていなかったのですが、ロイヤルサンセットやイブの誘引や選定などあちこちのブログやサイトを見ているうちに、バラ栽培に通販もありなのか、と思うようになっていきます。
バラ栽培サイトのうちいくつかで見て、きれいだなぁ可愛いな~と思っていたピエール・ド・ロンサール。こんな可愛い乙女ピンクのバラもほしい~と憧れを募らせていく私の目の前に、2000円ぽっきり送料込みピーエルの即納大苗の広告が。
バラサイトやらブログやら見まくっていますので、Google AdSenseもガンガンあちこちのバラ苗販売サイトの情報を私の目のつくところに流してきます。それがネットでも高評価のバラの家だったのもあって、私は初めてのバラ苗ネット通販に踏み切ってしまったのでした。
2019年の2月、確か10日頃。
我が家にやってきたピエールは棒のような枝が幾本か突っ立っているだけの見慣れた大苗。これが写真付きのタグの通りのかわいい花を咲かせるのかなーと思いつつ、庭のフェンス際に植えました。
初めは、本当にこれがバカでかくなるって噂のピエール?と思うようなちびこい葉っぱがちまちまと新芽から展開し、本当に??とみているうちにそこから更に大きな葉が出て、一年目は膝から下程度の株ではありましたが、大きく可愛い花を咲かせてくれました。
回顧するバラの庭
ピエールを迎えて、毎日いそいそと我が家の庭を眺め、通勤の折にご近所の庭も「バラ植えてないかなー」とこっそり拝見させて頂くことが増え、自宅から5分も掛からないおうちのフェンスのモッコウバラなど見ていて気が付いたことが。
このおうちの裏庭(表も裏も道に挟まれた家なので、どちらの庭も道路から見える)、10ウン年前ぐらいに、何年かの間ピーエル植えてなかったっけ…??
朧な記憶を頼れば、よく見かけるクイーン・エリザベスとは明らかに違う、外側が白で内に行くほど濃くなるピンクのバラを、パーゴラ的な構造物に這わせていたおうちがあった……。バラはないけど、なんか見覚えのある足場みたいなのがある。
見かけるたびにいいなぁ可愛いなぁと思っていたバラ。名前もわからず、教えてもらおうにも交流もなく、いつの間にかそのお庭から消えてしまった。
その淡いあこがれを漠然を思い返しながら、我が家の庭で開き始めた蕾を見て、やっぱりあれはピエールだったんだなぁと確信したのでした。
今のところ、2年目のピエールはそこまで暴れるとか手が付けられないほど大きくなるというところまで育ってはいません。しかし評判通りの強健種なんだろうなという勢いで新芽をぐんぐんと大きな葉に展開しています。
今年はまだ蕾になる花芽も確認できていませんが、すでに1.5メートルを超えたシュートからどれだけ花をつけてくれるだろうか、花後に来年を期待できるベーサルが出てくれるか、楽しみにしています。
ロイヤルサンセットと暮らす
馴れ初め
2017年に我が家にやってきて、その後、長年名無しのバラとして不遇な状態にあったイブ・ピアジェの名前を判明させ、つるバラとしてきちんと扱うように私を仕向けたのがロイヤルサンセット。この年の春に16年の生涯を終えたイエローラブラドールを偲ぶために買い求めたアースカラー寄りのオレンジのバラです。
1960年アメリカの作出。バラの家さんでは中香でティー香とありましたが、そこそこ香りますし、酸味の少なめなフルーツの香りもするように思います。
ラージクライマーの名が示す通り、長くしなやかにつるを伸ばし、大きめな花は好きなところで咲こうとします。なんというか奔放な感じ。
若かりし頃元気放題で、リビングの床板を破壊してくれたわんこを思い出すのにぴったりすぎて、園芸店でみたタグでオレンジ系とあってこれにしようと決めただけのバラがなぜここまでとも思ったりします。
うどんこも黒星も耐性は普通とみますし、害虫に強いともないですが、病気にも虫にもあまり困った記憶はありません。ハバチにも好かれないみたいで、イブとは比べ物にならないほど手が掛かりません。花弁数が少ないので蕾が緩んだら即咲き、雨痛みもなく全開して3日ほどで散っていきます。
ただ、昨年春の後に調子を崩して夏にしょぼくれた色の薄い葉だらけになり、そのあと周囲のバラが秋の新芽をつけ開花しても一向に復調しなかったのですが、11月近くになってそろそろ冬剪定とか誘引とか考えないとなーと思い始めたころに真っ赤な新芽を出し始め、一枚目の写真のような花をいくつか咲かせました。
今年春の後はお礼肥をするか、しないままでいくか悩ましい所です。
2020年はまだ蕾を見ていませんが、やる気を感じる元気な赤い新芽が沢山出てきました。
このバラ自体にはとりたててネタになるようなものはありませんが(自由奔放という以外は…)、庭の目立つ場所にありながらつるバラの扱いをされていなかったイブを、「新しいバラもきたし、こっちもきちんと剪定とかして肥料もやらないと…。で、このバラ名前なんだっけな…」と待遇改善させた功労者ではあります。
春先にフェンスをオレンジに染め、ご近所から「きれいだね」と言って頂けた初めてのバラでもあります。
昨年はもしや枯れるのではとも思いましたが、遅まきながらも復調してくれたので、あせらずゆっくり付き合っていきたいと思います。
イブ・ピアジェのこと
出会い
はっきりとこれが私のファーストローズだと言い切れる品種が思いつかないのですが、あえて言うならこれがそうでしょう。
スイスの宝飾品、時計の高級ブランド、ピアジェ社の会長イブ・ピアジェ氏に、作出したフランスのメイアン社から捧げられたバラ、だそうです。
濃いローズピンクに芍薬のような華やかな花容、ダマスクモダンの素晴らしい芳香を持った花です。
個人的には男性が好みそうなバラかなーと思ってます。女性はニュアンスカラーと言いますか、河本バラ園のシリーズやイングリッシュローズが好きなイメージ。
このバラと出会ったのは、何年前でしょう。
少なくとも17年前で、JAのグリーンセンターだったと記憶しています。まだ健在だった祖母が近所の里山に借りている畑に植える野菜の苗を買いに行きたがり、母の車で出かけた折りに、花苗を見ている母と一緒に色々見て歩いていて、
「バラほしいな」
と言った私に、母が頷いて「フェンスにつるバラを這わせたいんだよね」と言ったのでした。
その少し前に我が家は建て替えをし、庭もすべて一からという状態で、まだまだ寂しいものでした。ブルームーンと黄赤のバラが無くなった庭の奥の方に、家を建て替えて一年後に亡くなった三代目わんこのトイプードルを偲ぶための白バラがあるだけでした。
実はその白バラの横に、別の園芸店で購入したブライダルピンクなる可愛らしいピンクのバラ苗を植えていたのですが、素人且つ放置プレイで育てるのには全く向かない品種であったようで、祖母が周囲に植えこんだリュウノヒゲやらタチアオイやらに紛れているうちに枯れてしまっていました…。
そんな流れで我が家にやってきた新しいバラ、何と恐ろしいことに私はロイヤルサンセットを迎えるまでこのイブ・ピアジェの名前を認識していなかったのです。しかも、つるバラというものについて、まったく理解をしていなかった!
つるバラと書かれたタグだけを見て選び、大苗だったので実際の花付きどころか枝葉もない状態で我が家にやってきたその苗を、私はポスト横の玄関から一番近いフェンス際に植えました。
そしてそのまま数年が過ぎました。
「つるバラっていうけど、ぜんぜんフェンスに絡まないよね~」
「そうだねえ」
なんということでしょう。私は(母も)つるバラとは自分で勝手に、蔦のごとくフェンスやらアーチに絡んでいくものだと思っていたんですね……。
しかも、このバラ異様にチュウレンジハバチに好かれるものだから、気が付くとあの憎い幼虫が葉っぱにわんさとついているわ、雨に弱くてすぐに茶色になるわ、見た目もあまり好みじゃないなーと思っていたこともあってかなり可哀想なことをしてしまったのです。
今年の一月に撮った写真です。我が家のイブは一本足で、小文字のrのような形をしています。 縦棒部分はすごく太くなっていて、しかもハバチにやられるたびばっさり切っていたせいで、そこから即ステムが出て、ぼわっと鳥の巣のようなかたちに丸く花がいくつかつくというなんじゃこれは状態でした。
ロイヤルサンセットを迎えた2017年にしてようやく、つるバラは勝手にフェンスなりに絡まない、長く伸ばした枝を横に倒して人間が括りつけてやらねばならないのだと知った私。取り返しのつかないこの樹形にすごく悩みました。
rの縦棒部分はとにかくもう極太だし長く伸びる枝も出ない。位置的にもフェンスに括りつけるのは無理。かといって、木立性のように切って枝を増やす…にしても、株元からもう新しいベーサルシュートが出る見込みはない。考えた末に、rの縦棒を出来る限り切り詰め、一本だけ下の方から出ているサイドシュートを横に倒して、そこから新しい枝が出てくれるのを祈ることにしました。
結果としては一枚目の2018年のようになんとなくつるバラらしい形になり、害虫駆除も頑張ったおかげで少しづつこの花姿や色合いにも愛着が湧いてきました。
このバラは、フルーツ香寄りのバラを愛好しがちな私でも逆らえない、圧倒的な芳香があります。植物にある青っぽさを感じさせない、まるで香水のようなすばらしい香りです。
島田のバラ園にも何株も植えてあったので、そこそこメジャーなバラ園にはあるのではないかな。まだこの香りにであったことのない方は、機会があったら是非一度嗅いでいただきたいですね。
数年間「ケバくて派手な色だなー。飲み屋のおばちゃんホステスの服みたいよな」とか酷いことを考えてたりした私も今では、長く頑張ってくれたこのバラをとても大事に思っています。本当ですよ。
現在のイブさん
今年の1月に株元に寒肥をしようと思ったものの、周囲の土が固すぎて(すぐ横に母が植えてしまったアジサイがあるので、地下で熾烈な領土争いをしていると予想されます)どうにもならないので、浅く掘ったところに発酵油粕と馬糞堆肥を入れ、地植えバラ全部に寒肥した後に余った馬糞堆肥で、イブのみ株元をマルチングする勢いで盛り上げておいたところ、本当に久々に下目の位置から新芽が出てきました。
去年は鉢バラ用と同じペレット状の肥料のみで寒肥したけど、こんなところから新芽は出ませんでした。やっぱり株元を適当に耕すとか大事なんですね。
ベーサルは難しいでしょうが、この新芽が良いサイドシュートになってくれるといいなぁと思います。
今年も熾烈なハバチとの戦いを制して、あの天上の芳香を漂わせる花を咲かせたいと思います。
ファーストローズ
初めてのバラ
初めてのバラというものについて、どれを当てはめていいか悩むところです。
初めて自分の意志で購入を家族にねだって庭に植えさせてもらったブルームーンなのか。それとも二代目わんこ(この子が二代目なのか三代目なのかも悩むところ…)が亡くなった時に購入した名称不明の白バラなのか。
それとも自分で剪定やら施肥やらするようになったつるイブ・ピアジェがそうなのか。
イブ以前にあったバラについては、植えっぱなしの放置プレイ、花殻なんて摘まないしローズヒップもでき放題、害虫駆除なんて意識もなかったので果たして自ら栽培したといえるのか…?
基本的にバラは丈夫なのでそれでも咲いていたし、私も子供だったり若くて他に興味を惹かれる趣味が多くて、バラは時折に「あー咲いてるな、きれいだなー」ぐらいの気持ちしか向かなかったんですね。
あこがれのバラ
一番最初にバラを意識したのがどれかと言えば、はっきり覚えています。
クイーン・エリザベス イギリスのエリザベス女王の戴冠を記念して命名された殿堂入りのピンクのバラで、子供時代あちこちの家の庭にみられました。
今でもご近所バラ庭散歩の時にいくつか見かける、強健で育てやすいという話の品種ですね。子供心にも初夏のさわやかな空にふんわり咲く、濃すぎず薄すぎないピンクの花には本当に憧れたものです。
小学生がどれほど恋焦がれたとしても、その当時我が家の庭の所有権は祖父母にあり、バラみたいな花木の手入れなど子供ができるわけもないということで、長らくその希望は叶いませんでした。
しかし、10代後半になって何かの拍子にバラ苗を買ってもらった時に、なぜブルームーンだったのか? その時園芸店なりバラ農園でそれが目に留まったからだったのか…そのあたりは覚えていないのです。
のちにブルームーンの横に叔母が自宅の庭から持ってきた黄色と赤の混じった中輪のバラを挿し木して、それも相当に大きくなりましたが、家の建て替え時にみんな抜かれて処分されてしまいました。おそらく、根が大きすぎて鉢上げもできなかったでしょう。今の私なら挿し穂を取って挿し木苗をつくるのを試みるだろうけど、その当時は思いつかなかったんですね。
墓標としてのバラ
UnderTheRoseではないけれど、飼っていた犬を亡くした時に、そのまま遺体を庭に埋めるのは無理で、でも心のよりどころとしての墓標がほしくてバラを植えたことがあります。
記憶がないけど幼少期に一匹目の犬がいて(祖父母が飼っていた)二匹目は捨てられていた子を祖父が拾ってきて、バラを植えた子は私が飼っていた三代目になる白いトイプードルでした。だからバラは白いものがほしかった。このバラは名前がわかりません。ビクトル・ヒューゴーという名前をぼんやり覚えていたんだけど、それは赤バラなんですね。どこで記憶違いをしたのか…。
木立性で高芯だったけど剣弁というよりももう少しやわらかな感じだったと思います。ヨハネパウロ2世かしらと思ったけど、作出年が2008年なので、違うかなぁと…。四代目の犬の年齢を逆算すると2000年以前に作出された品種でないと計算が合わないので。
バラは世界中の育種家、メーカーが毎年のように新品種を作り出し、何万種とあると言われています。いろいろ調べているけれど、購入したバラ農園も廃業してしまった今では、この白バラは永遠に名前がわからないかもしれません。
先にちらと触れましたが、四代目の犬もすでに亡くなりました。その子を想うよすがに植えたのが、ロイヤルサンセットです。
その年によって濃淡が違いますが、夕暮れの名が語る通りオレンジのバラです。柔らかにブラウンがかって咲くこともあり、暴れまくる枝ぶりにやんちゃだったイエローの毛色のラブラドールを思い出します。
実は、イブ・ピアジェを植えてから10年余りもやはり私はこの樹を放置気味に育てており、現在のように真面目に剪定したり誘引したり、花殻つみに薬剤散布害虫駆寒肥追肥と世話し出したのはロイヤルサンセットを迎えてからでした。
その前々年辺りまで、創作活動をしたりあちこち出かけたりもしていたのが、体力の衰えと共に活動範囲が狭まり、旅といえばドラクエ10の中だけという状態だったのが(遠出できなかったのは四代目わんこが老犬になり介護に忙しかったのもありますが)、犬がいなくなったあとの愛情とエネルギーをバラに向けた分、反動で、私は、やれ園芸店だホムセンだバラ園だバラ展示会だと、変に情熱的になっていくのでした…。